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安芸市

高知県安芸市の人口減少で目立つ年代層を考える

安芸市の人口はどこでどう減っているのか。その中でも特に目立つのは、どの年代なのか。気になったので、周辺市町村や、人口規模が似ている芳賀町(栃木県)や長洲町(熊本県)とも比べながら、考えてみました。

私は四万十町に住んでいます。安芸へ行くたびに感じるのは、同じ高知県内でも人の動きや年齢層の「空気」がちょっと違うということ。統計を見るのは大事だけど、数字だけでは語れないものがある。それがこの文章を書く出発点です。

 

安芸市で特に減っているのはどの年代?

安芸市の人口で、最も減り方が目立つのは15歳から29歳の若年層。この年代が抜け落ちたように少なくなっている。さらにその影響で、30代と子どもの層も時間差で細くなっているように見えます。そして高齢者が相対的に多く感じられる。この構造、結構はっきり出ている気がします。

単純に「若者が出て行くから」では済ませたくない。出ていく背景と、戻ってこない理由。それぞれに違う事情がある気がしてなりません。

 

若者が動くタイミングを生活の節目から考える

私の中で、この15〜29歳が町を離れやすいタイミングは大きく三つあると考えています。

  • 18歳前後で、進学や就職による初めての移動
  • 22〜24歳で、就職が本決まりになるタイミング
  • 27〜29歳で、結婚や住まいの変化、転勤などが重なる時期

安芸市は、この節目で人が出ていきやすい形をしている。

たとえば安芸駅からごめん・なはり線で高知市方面へ。あるいは国道55号を車で。国道493号も含めて交通は整っていて、便利です。その便利さが、逆に「外へ出やすくしている」のではないかという仮説を持っています。

駅周辺で言えば、安芸駅ぢばさん市場は観光客と地元の人が交差する場所。観光では伊尾木洞、野良時計、岩崎彌太郎生家、安芸城跡など見どころも多い。

人は確かに来ています。けれど「暮らす人の厚み」と「来る人の賑わい」は別の話。そこは冷静に見分けたいと思っています。

 

子育て世代と子どもの層も時間差で減る

15〜29歳が少ないと、当然その数年後、30代が細くなる。

30代というのは家族を持ち始める時期でもあり、地域のイベントや学校、スポーツ少年団などを支える存在でもあります。ここが薄いと、地域のエネルギーも少しずつ静かになっていく。

具体的な風景としては、安芸市立図書館の児童コーナーのにぎわいや、安芸タイガース球場で見かける子どもたちの数。ある年を境に、急に静かになったように感じることがあります。

0〜14歳の子どもも、直接的に減っているというよりは、親世代の動きに引っ張られて自然と減っている印象です。

出生数が減っているのも確かですが、それだけではない。若い世代が市外に移った結果、子どもが他市町村で生まれている。そういう構図もあると考えています。

 

高齢層が目立つのは「原因」ではなく「結果」?

高齢者が多く見えること自体は間違いないのですが、それは「原因」ではなく「結果」の側面もあると思っています。

若い世代が減ると、残った世代の比率が上がる。そうして高齢化が際立って見えてくる。

風景に落とすと、安芸中インター線を走る車の流れや、サンシャイン ランド店のレジ前に並ぶ人の年代感。こうした日常の場面で、じわじわと年齢の偏りが浮かび上がってくる。

静かだけど、確実に進んでいる変化です。

 

安芸市は「受け皿」があるのに若者が出ていく

安芸市の周辺には芸西村、安田町、田野町、奈半利町、北川村、室戸市があります。

この東部エリアは全体的に高齢化が進んでいる地域。その中で安芸市は行政の中心、買い物や通院の中核、観光の拠点という「受け皿」の機能を持っています。

それでも若い世代が出て行き、戻ってこない。このギャップはとても大きな問題だと感じます。

若い人にとって、暮らす場所としての選択肢になれていないのか。あるいは、戻るきっかけが足りていないのか。

 

芳賀町と長洲町との比較 同じ人口でも見える風景が違う

安芸市の人口は約1万5千人。この規模に近いのが、栃木県の芳賀町と熊本県の長洲町です。

栃木県芳賀町の場合

芳賀町は、宇都宮市に近く、通勤圏としても機能しています。工業団地があり、宇都宮ライトレールも通っています。▶芳賀町の人口について

道の駅はがや芳賀温泉ロマンの湯など、地域資源も豊か。外から働きに来る人と、定住する人のバランスが良く、20代が完全に抜け落ちることはないようです。

つまり、出る人がいても、入ってくる人がいて、谷が浅くなりやすい構造を持っているわけです。

熊本県長洲町の場合

長洲町は、20代前半で出ていく人が多い反面、20代後半では男性の転入が増えている傾向があります。▶熊本県長洲町の人口動向

JR長洲駅や国道501号を中心に、荒尾市や玉名市とつながる生活圏が自然に形成されており、県境をまたぐ暮らしが日常的になっています。

このような交通と就業の関係が、人口の谷を埋めている一因になっているのではないかと想像しています。

 

安芸市の谷が深く見える理由 仮説で考える

安芸市にも、観光も行政も公共施設も揃っている。にもかかわらず若年層の定住が進まない。

そこには、いくつかの要因が重なっているように感じます。

  • 相手の勤務地が市外であることが多い
  • 子育てに必要な環境が揃いきっていない
  • 家賃や空き家の選択肢が少ない
  • 親との距離感の難しさ
  • 就業先の数と質

さらに、高知市方面へのアクセスがどんどん良くなっているのも一因。

便利になるほど、通う・通じる町にはなっても、住み続ける町にはなりにくくなる。そんなジレンマがあるようにも見えます。

 

最後に これから見たい3つのポイント

私がこの先も追いかけたいのは、次の3点です。

  • 15〜29歳の転出超過が何年続いているのか
  • 30代の薄さが保育園や小学校の在り方にどう響くか
  • 国道55号沿いや安芸駅周辺で、平日昼間にどんな年代が目立っているか

若年層の谷がどこで、どのくらい深いのか。それを丁寧に見ることで、安芸市の次の打ち手も、もう少しはっきりしてくるのではないかと思っています。

私は今、そのスタート地点にいます。

 

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